2025年春、パリで開催されたファッションウィークは、世界中のファッション業界に注目される舞台となりました。特に日本ブランドの最新コレクションは、独自の美学と革新的なデザインで注目を集め、海外メディアやバイヤー、インフルエンサーの間で大きな話題となりました。伝統的な日本の美意識と現代的な感覚を融合させたルックは、パリの街並みにも自然に溶け込みつつ、独自の存在感を放っています。
日本ブランドの特徴的アプローチ
1. 和の要素と現代デザインの融合
今回のコレクションでは、着物や袴から着想を得たシルエットや、和紙を思わせるテクスチャーを取り入れたデザインが目立ちました。しかし単なる伝統再現ではなく、現代的なカッティングやレイヤリング技術によって、新鮮かつスタイリッシュなルックに仕上げています。例えば、重ね着風のジャケットやオーバーサイズのパンツは、動きやすさと美しいラインを両立。伝統的な美意識が、現代の都市生活に適応した形で表現されていました。
2. ミニマルかつモダンな色使い
カラーリングも注目ポイントです。ベースにはモノトーンやニュートラルカラーを使用し、ポイントで鮮やかなアクセントカラーを加える手法が採用されました。特に透明感のあるブルーやアッシュピンク、淡いグリーンなど、柔らかく透け感のある色調が、軽やかで洗練された印象を演出しています。光の当たり方で微妙に表情を変えるカラーリングは、ランウェイの照明と相まって印象的なルックを作り出しました。
3. サステナブル素材の活用
最近のファッションウィークのトレンドとして、サステナブル素材を積極的に取り入れるブランドが増えています。今回パリで発表された日本ブランドの多くも、オーガニックコットンやリサイクルポリエステル、植物由来の染料を使用し、環境に配慮したコレクションを展開しました。美しいデザインだけでなく、製作過程や素材選びにまでこだわる姿勢は、海外の観客からも高く評価されました。
注目のブランドとデザイナー
山本耀司（Yohji Yamamoto）
山本耀司の最新コレクションは、独特のドレープ感とアシンメトリーなデザインで、パリの観客を魅了しました。黒を基調としたルックに、柔らかい素材の重なりが動くたびに影を作り、立体感のある印象を演出。また、アクセントとして透明感のある淡い色の小物を合わせ、伝統とモダンの融合を強調しています。
川久保玲（Comme des Garçons）
川久保玲は、抽象的なパターンや立体的なシルエットを取り入れた実験的なコレクションを発表。ランウェイ上では、既存の服の概念を超えた新しい形や構造が目立ち、海外メディアからも「革新的」と評されました。ジェンダーレスやアート性の高いデザインが、パリという舞台で一層映える結果となりました。
若手デザイナーの挑戦
パリで注目されたのはベテランだけでなく、次世代の若手日本デザイナーたちも躍進しました。ユニークなテキスタイルやカラーの組み合わせ、ハイテク素材を取り入れたルックは、観客に新鮮な驚きを与えました。特にZ世代を意識した軽やかで自由なスタイルは、SNS上で瞬く間に話題となり、世界のファッションメディアでも取り上げられています。
ランウェイ演出と体験
今回のパリコレクションでは、照明や音楽、AR技術を駆使した演出が行われ、ファッションショー自体が一つのアート作品として完成されていました。衣装の色や素材の質感が光と連動して変化する演出により、モデルが歩くたびにルックが新たな表情を見せ、観客の視線を引き付けました。
また、ランウェイだけでなく、ショー後の展示ブースやインスタレーションスペースでは、素材やディテールを間近で体感できる機会が提供され、より深くコレクションの世界観を理解することができました。
