4. 動きと機能を意識したデザイン
未来志向のシルエットのもう一つの特徴は、「動き」に着目している点です。長めのコートやドレープ状のスカートは、モデルが歩くことで自然に広がり、服が動きに反応する設計になっています。また、通気性や軽量性を考慮したパーツの配置により、都市生活やアウトドアなど多様なシーンでの快適な着用が可能です。
このようなデザインは、静止しているだけではなく、日常の動作やランウェイでの演出を通して本領を発揮するため、服自体が「生きたアート」としての価値を持つことになります。
5. 注目ブランドとデザイナー
山本耀司(Yohji Yamamoto)
山本耀司の最新コレクションでは、オーバーサイズのジャケットや非対称なパンツ、流れるようなドレープを組み合わせたルックが目立ちました。黒を基調にした色彩の中で、シルエット自体が表現の中心となり、動きと形の美しさを際立たせています。
川久保玲(Comme des Garçons)
川久保玲は、抽象的で構造的なデザインを通して、従来の服の概念を超えた未来的なシルエットを提示。空間的な広がりやパズルのような立体裁断は、服が歩くたびに新しい表情を見せ、観客に強烈な印象を与えました。
若手デザイナー
若手デザイナーもまた、テクノロジーを駆使した革新的なシルエットを発表。ハイテク素材を用いた光の反射や透過を意識したデザイン、動きに応じて形が変化する可変型のシルエットなど、実験的な取り組みが多く見られました。
まとめ
2025年のランウェイにおける未来志向のシルエットは、形の美しさだけでなく、動きや機能、素材、テクノロジーと融合することで、従来のファッションの枠を超えた表現として進化しています。オーバーサイズ、ジェンダーレス、立体裁断、ハイテク素材の活用など、多様な要素が統合され、服そのものが「生きたアート」として存在感を放つ時代となりました。
ランウェイを通して提示される未来的なシルエットは、単なる流行ではなく、私たちの生活や都市空間に適応した新しい服の形を示しています。2025年、ファッションは単なる衣服を超え、動き、光、空間と連動する「体験型のデザイン」として進化しているのです。