近年、東京を中心とした都市部のファッションシーンでは、性別の枠にとらわれない「ジェンダーレスファッション」が急速に浸透しています。特にZ世代(1990年代後半〜2010年代前半生まれ)を中心に、服の選び方やブランドの好み、着こなし方において、男性・女性という従来のカテゴリーに縛られないスタイルが日常化しています。ストリートスナップやSNSを通して広がるこのトレンドは、単なるファッションの変化ではなく、若い世代の価値観やライフスタイルそのものを象徴していると言えるでしょう。
Z世代とジェンダーレスの価値観
Z世代は、デジタルネイティブとしてSNSや動画コンテンツに日常的に触れ、多様性や自己表現を重視する傾向があります。服は単に体を覆うための道具ではなく、個性や価値観を表現する手段です。そのため、男性向け・女性向けの既存カテゴリーに縛られることなく、自分らしいスタイルを自由に選ぶ傾向が強くなっています。
たとえば、男性がフリルやレースを取り入れたブラウスを着たり、女性がゆったりとしたスーツジャケットやボクシーなシルエットのパンツを選ぶことは、Z世代にとって自然な選択です。ブランドロゴや装飾に頼るのではなく、シルエットや素材、カラーで個性を表現するジェンダーレスファッションは、彼らのライフスタイルや価値観に非常に合致しています。
ブランドとジェンダーレスコレクション
日本国内外のブランドも、この潮流を積極的に取り入れています。国内では、コム デ ギャルソン(Comme des Garçons)やサカイ(sacai)がジェンダーレスラインを展開し、ユニセックスなシルエットや素材感を前面に押し出したコレクションを発表しています。特に、コム デ ギャルソンは、男性モデル・女性モデルを同じルックでランウェイに登場させることで、性別の垣根を超えたスタイルを提案しています。
海外ブランドでも、グッチ(Gucci)やバレンシアガ(Balenciaga)が、ユニセックスコレクションを発表。ストリート系とラグジュアリー系の両方で、ジェンダーレスの概念をファッションに落とし込み、Z世代の注目を集めています。東京のセレクトショップや百貨店でも、こうしたアイテムが特設コーナーで紹介され、試着する若者の姿が日常的に見られるようになりました。