「静かなラグジュアリー」が東京の街を席巻

投稿者 高橋 美咲

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ブランドとショップの動き

日本国内のブランドでも、この流れに応える動きが目立ちます。たとえば、コム デ ギャルソン(Comme des Garçons)やヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)の一部ラインでは、ロゴを控えめにし、素材の質感や独自のカッティングを前面に押し出したコレクションが展開されています。海外ブランドでも、セリーヌ(Celine)やロエベ(Loewe)などが、控えめながらも上質なラグジュアリー感を打ち出すデザインを発表しており、東京でもその影響は顕著です。

小規模なセレクトショップでも、こうした静かなラグジュアリーを扱う動きが増えています。青山の路地裏にあるセレクトショップでは、イタリアやフランスの上質な素材を使ったシャツやコートが並び、ブランドロゴはほとんど目立たないにもかかわらず、多くの大人の女性や男性が足を運んでいます。ショップスタッフによれば、「お客様は、見た目の派手さよりも、触れたときの素材感や着心地の良さを重視する方が増えました」と話します。

日常への浸透

静かなラグジュアリーは、フォーマルなシーンだけでなく、日常生活の中でも着こなされるようになっています。オフィスでのコーディネート、週末のカフェ巡り、子どもとの公園散歩に至るまで、あらゆる場面で自然に馴染むのが魅力です。特に女性の間では、シンプルなワンピースやカーディガン、レザーのバッグを組み合わせたコーディネートが人気で、「上質だけれども肩肘張らない」スタイルが好まれています。男性も同様に、スニーカーではなくレザーシューズ、カジュアルシャツではなく上質なニットを選ぶことで、日常の中にラグジュアリーを取り入れる傾向が見られます。

また、このトレンドはSNSでも広がりを見せています。インスタグラムやピンタレストでは、「#サイレントラグジュアリー」や「#静かなるラグジュアリー」といったハッシュタグが増え、都市部だけでなく地方のファッション愛好家にも影響を与えています。写真では、ロゴや装飾に頼らず、素材や色合い、シルエットの美しさで魅せるスタイルが多く投稿されており、静かなラグジュアリーの魅力がより広範囲に浸透していることがわかります。

今後の展望

東京の街で広がる静かなラグジュアリーは、今後も拡大していくと考えられます。環境意識の高まりや、日常生活における上質志向は、短期的なトレンドではなく、都市部の大人のファッションにおける長期的な価値観の変化を象徴しています。また、デジタルメディアやSNSを通じて情報が瞬時に広がる現代において、控えめで上質なスタイルこそが、かえって目立つ時代になりつつあります。

東京での日常に溶け込みながら、静かに存在感を放つラグジュアリー——このムーブメントは、今後ますます洗練され、多様なライフスタイルに取り入れられていくことでしょう。


💡 まとめ

  • 静かなラグジュアリーは、派手さよりも素材やシルエットで価値を表現するスタイル

  • 都市部の大人を中心に支持され、日常に自然に取り入れられている

  • ブランドやショップもこの流れに対応、SNSでも拡散中

  • サステナブル志向や日常生活の質向上と結びつき、今後も広がるトレンド

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